〜「防災の意識を育てる日展」〜
藤木先生インタビュー
本学図書館では「防災の意識を育てる日展」を初めて開催しています(3月13日~4月28日)。
被災地活動の写真を提供してくださった藤木せら先生(学生部職員)にお話を聞きました。
(取材・「図書館アルバイト」経営学科4年・山口里紗)
「防災の意識を育てる日展」の様子
2011年3月11日に発生した東日本大震災から今年で12年がたちました。今もなお被災地には当時の爪痕が残っています。日本ではその後も甚大な災害が何度も起きており、復興が追いついていない状況です。
藤木先生は日本経済大学出身であり、学生課職員として勤める傍ら、ボランティア活動にも取り組んでいます。故郷は熊本県御船町。2016年4月に発生した熊本地震で被災し、その際に、現場で活躍するボランティアの姿を見て活動を始めたといいます。
「ボランティア活動時に教えてもらった“恩送り”という言葉を大切にしています。熊本地震の際にもらった恩を今度は自分が送る番です」
初めてボランティア活動に携わったのは18歳の2018年8月。7月豪雨(西日本豪雨)により被災した地域での活動でした。
「少しでも被災地の力になれたら、という思いで参加しました。活動を通して様々な人々と出会うことができました。その中で被災者から感謝されることもありましたが、『どういたしまして、ではなく生きていてくれてありがとう』という気持ちでした。特に印象に残っているのは、がれき撤去の際に登った屋根上から見渡した美しい海と、水に浸かったアルバムを乾かしている被災者の姿。思い出の尊さを感じました」
災害ボランティアの活動内容は多岐にわたります。水害被害の際は床下の泥かき、台風被害の際はがれきの撤去やブルーシート張りなど被災理由によって活動内容も変わります。
しかし、どの被災地においても共通して最も大切なことは、被災者とのコミュニケーションであると藤木さんは語ってくれました。
「その日の活動成果より、どれだけ被災者の思いに寄り添えたかが大事。不安な気持ちにさせないよう、活動内容の細かい報告から、雑談まで、気持ちを通じ合わせることを心掛けています」
また、実際に現地で災害現場を目の当たりにする中で得た教訓として「周囲の人とのつながりが大切。何気ない日々が全て防災に繋がっている。」と話してくれました。
取材の最後にこれからの未来、災害ボランティア活動を担う人へメッセージをいただきました。
「動機はなんでもいいから参加してみることが大事。偽善者という言葉を聞くことがあるが誰かの力になったという事実が大切なのだから気にする必要はない。参加して感じた思いや心が揺れ動いた瞬間を大切にしてほしい。それが今後の人生を生きていく上での指針となります」
藤木先生自ら学生時代に設立したボランティアサークル「おもいで」(部員20人)は、人々の思い出を守っていけるような活動がしたいといった意味が込められています。
人や場所、何気なく存在する建物にも必ず誰かの思い出が存在します。
筆者も不測の災害への備えとして、形あるものに留まらず「人とのつながり」も改めて大切にするべきだと学びました。
※日本経済大学図書館は学生による文化ボランティア活動を引き続き応援していきます