天ぷらは誰でも食べられる料理
執筆:アリ・アカ
私の好きな日本料理は天ぷらだ。私は5年半前に日本へ来てから日本のレストランへ行くことはなかった。なぜなら私はイスラム教徒なので食べられないものがあり、日本のお店で食事をする自信がなかったからだ。ほとんどのお店は豚肉やお酒を提供しているが、イスラム教にとっては両方とも禁じられている。
私は大学1年生からある天ぷら屋でアルバイトを始めた。私は飲食店でアルバイトをしたのが初めてだった。その前はコンビニエンスストアやヤマト運輸などでもアルバイトをしたことがある。
天ぷら屋ではキッチンやホールなどの仕事をしている。天ぷらを揚げているときに自分が食べられるものがたくさんあると気づいた。そして、スタッフは仕事終わりにまかないとして天ぷらを食べることができる。私は仕事が終わったあとに自分のために天ぷらを揚げて食べるときもある。
天ぷら屋のほとんどの食材は野菜や魚類などなので、イスラム教の人たちも食べられると思う。私が天ぷらの中で一番好きなものはナスとチーズ。すごくおいしくて気持ちが満たされる。
私は天ぷらについて調べてみた。天ぷらは室町時代にポルトガルから伝わった。「天ぷら」の語源はポルトガル語でテンポーラ(Temporas)と言われている。Temporas はキリスト教と関係のある言葉で、 「四季の斎日」を意味する。カトリックでは「四季に行う斎日」に祈祷と断食が行われ肉を食べることが禁じられていたので、野菜や魚に小麦粉をつけて揚げ物にして食べていたようだ。
天ぷらは油を大量に使って調理をするが、当時の日本にとって油は高級品だったので庶民が食べる料理ではなかった。また、日本の天ぷらの起源となっている「長崎天ぷら」と呼ばれるものがあるが、「長崎天ぷら」は安土桃山時代にポルトガル人が長崎に伝えたものとされている。江戸時代に入ると油の生産が増えたことから庶民の間でも食べられるようになって、衣の生地は薄く、天つゆを付けて食べるスタイルへと変えたといわれている。こうして徐々に天ぷらが広まり、天ぷら専門店の店が増え、天ぷらを揚げる職人が話題となったのだ。
天ぷらの歴史を勉強しておもしろいなと思った。次に天ぷらを食べに行く時はもっとおいしく食べると思う。イスラム教徒だろうが、ベジタリアンだろうが天ぷらは誰でも食べられるおいしい料理だと思う。