VOICEプロジェクト 第4回講義を実施
10月26日、VOICEプロジェクトの第4回講義が実施されました。
今回のテーマは「スポーツ分析」。ゲスト講師として、株式会社DELTAで代表取締役を務める岡田友輔氏をお招きし、本学から健康スポーツ経営学科 講師の船戸渉先生が登壇しました。
岡田氏は、野球の分析データの提供やデータに基づくコンサルティングなどを行う「株式会社DELTA」を13年前に立ち上げ、代表取締役を務めています。また、船戸先生は、自身もスポーツアナリストとしてラグビーのゲーム分析を行ってきた経験を持ち、現在は健康スポーツ経営学科の講師としてスポーツの分析について教えています。
講義ではデータ分析の基本的な考え方や、「アナリスト」という職業についてやりがいや課題などについて解説いただきました。
スポーツにおけるデータ分析は近年急速に発展を遂げており、船戸先生は「現在はAIカメラや機材などの発展によって、昔では取得することのできなかったデータを簡単にリアルタイムで取得することができるようになった」と、岡田氏は「昔に比べてかなり細分化して分析できるようになった。今では、チームの采配における具体的な判断材料になるところまでデータが取れるようになってきたし、実際にメジャーではどんどんデータに基づいた采配が行われるようになっている」とそれぞれ話しました。
その一方で課題については「分析はしても現場に落とし込めるかは別の問題。データを活用しようとすると、どうしても現場とアナリストとの間で衝突が起きることがある。他の業界と同様、双方でコミュニケーションをとっていくことが難しいところだけれど、これができれば強いチームになると思う」と岡田氏。
船戸先生は「今まではコーチや監督がこれまでの経験や感覚をもとに指導していた。それ自体は大事なことだし否定するつもりはないが、世代も感覚も違う選手に押し付けるとうまくいかない。そうした中で客観的に見て双方が納得できる提案をできれば互いにとって良いと思う」と、自身の経験も交えて話していました。
講義の中で、やりがいや実現したいことを問われると、「15年前はなかった”アナリスト”という職業は、今や野球界にあって当たり前の存在になっている。今後はスポーツをデータの側面から楽しめる割合を増やしていくとともに、後進のアナリストにとって良い環境を整えていきたい」と岡田氏。
船戸先生は「大学生や高校生のような若い世代が、ペンと紙やスマホなどで”いつの間にか分析しちゃった”というくらい気軽に分析をできる世界が実現できれば」と話していました。
また、「学生のうちにやっておいた方が良いことは?」という質問に対しては両名とも「スポーツだけでなく、他の強みを見つけることが重要」と答えました。「野球と統計学を掛け合わせてセイバーメトリクスという分析方法が生まれたように、今後はスポーツのデータだけでなく他の業種とのかけ合わせが重要。自分にオプションをつけるような意識で一つ二つ強みになるものをかけ合わせるといい」と岡田氏。
講義の最後には参加した学生同士でのディスカッションを実施。近くの席の学生と2〜3人のグループになり、今回の講義で感じたことや感想について話し合いました。
その後、各グループの代表者がそれぞれ質問や感想を発表。「剣道をやっているけれど、武道の分野では分析は用いられていますか?」や「デルタ社がSNSで簡易的な分析データを発信している意図は?」といった質問も寄せられ、それぞれ「武道の分野でも分析は取り入れられていて、剣道では目線の動きによる動作の解析が進んでいる」「スポーツの分析に関心を示す人を少しでも増やすために発信をしている」と答えました。
VOICEプロジェクトの全5回の授業は次回が最終回となりました。
次回は学生自身によるプレゼンテーションを行う予定です。
【関連ページ】健康スポーツ経営学科:https://www.jue.ac.jp/department_top/sports_management/